『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』ー清志郎にふたたび出会う最高の音楽映画! 園崎明夫

  • URLをコピーしました!
©2026 Kiyoshiro Movie Project

 映画『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』は、RCサクセションのメンバーとして70年代の登場以来、どの時代の音楽シーンでも比類のない存在感とパフォーマンスで活躍した忌野清志郎の軌跡を辿るドキュメンタリー作品。2年前にも音楽家・加藤和彦の人生とその時代を描いたドキュメンタリー作家・相原裕美監督の作品です。

 これまでも実在したアーティストの人生を過去のアーカイブ映像や所縁の人たちの証言などで構成するドキュメンタリー映画は数多く作られていますが、この作品は間違いなくトップクラスの素晴らしさだと思います。

©2026 Kiyoshiro Movie Project

 まず忌野清志郎がその長い音楽活動で一貫して伝えたかったメッセージが、彼自身のライブや発言や関係者の発言から明確に捉えられていて、それゆえ映画の制作意図が明確に伝わる構成が見事です。70年代中頃に伝説的名曲「スローバラード」に衝撃的に感動し、その曲が収録されているLPレコード(ジャケットが凄い!)を買って毎日聴いていた、そういう古いファンである筆者自身の思い入れを差し引いたとしても、やはり誰もが共感できる素晴らしい作品でしょう。人間ドキュメンタリーとしても、音楽映画としても。作品公式サイトの冒頭に「混迷の時代にこそ、清志郎を。ここには、今こそ耳を傾けるべき歌がある」とあって、確かに彼のメッセージと表現活動は、まさに今この時代に求められているものです。そう確信させる力がこの映画にはあります。

©2026 Kiyoshiro Movie Project
©2026 Kiyoshiro Movie Project
©2026 Kiyoshiro Movie Project

 選ばれたアーカイブ映像のクオリティとその編集に目を見張ります。とりわけ2025年のトリビュートコンサートでのアイナ・ジ・エンドのヴォーカルと梅津和時のサックスによる「スロー・バラード」は圧巻の一言。このシーンがそのまま清志郎へのこの上ない愛情とリスペクトと混然一体となって、そのまま映画の最高のクライマックスになっています。作品の前半に登場する1976年12月京都府立体育館のライブで清志郎が歌う「スローバラード」とともに観て聴けば感動もひとしおで、ほかにも映画全編に亘って素晴らしい楽曲が溢れんばかりに登場するこの作品が、素晴らしいドキュメンタリーであると同時に、稀に見る音楽映画の傑作でもあることは明らかです。

©2026 Kiyoshiro Movie Project

 映画のラスト近く、アップショットの清志郎が映画観客に向かって(もちろんそういう編集ですが)自分の夢を語ります。「僕の夢は世界の平和です。この世界から戦争がなくなることです。人間の頭の中から戦争という概念が無くなること!」。この言葉を中心にした終盤に向かうシークエンスは素晴らしく、2025年の清志郎トリビュート・コンサート、彼の長女で消しゴムハンコ作家・百世さんの作品とのコラボレーションアニメ、夢を語る清志郎、ライブステージでの歌唱「LIKE A DREAM」へと繋がるおよそ40分に及ぶ映像表現・構成は圧倒的な共感を呼ぶでしょう。

©2026 Kiyoshiro Movie Project

 相原監督はそのコメントで「愛し合ってるかい?ー映画のタイトルにも使わせて頂いた、愛と平和の清志郎イズムを象徴する、この言葉が、これ程までに重く考えさせられる時代になるとは。この映画は清志郎イズムをつないでいく物語です。」と語っています。清志郎自身の「僕の夢は世界の平和です。」の言葉とともに、まさにその通りだと思います。

 何か新しいことに出会いたいという人、何かを発見したいという人にはぜひ観ていただきたい。そして、あらためて清志郎という天才アーティストに出会っていただきたいです。それは、実はクライマックスのトリビュートコンサートでアイナ・ジ・エンドが「スローバラード」を発見したように、です。

©2026 Kiyoshiro Movie Project

 あと「自由」ってどういうことだろう、という問いに対するひとつのヒントがここにあるようにも感じます。忌野清志郎という人は「自由」という、ある種とりとめのない観念を、どこか具象化していたひとのようにも思えますので。そして、それは実はRCサクセションが登場した、日本の1970年代という時代と深く関係しているのではないでしょうか。高度経済成長とバブル時代に挟まれたあの時代と。加藤和彦、忌野清志郎を続けて作品化してこられた相原監督に、さらに70年代日本を探求した作品をぜひ撮っていただきたいと願っています。いずれにしても、出来る限り多くの方々に観ていただき、共感していただきたい作品です。

●総合デザイナー協会DAS 特別顧問 園崎明夫

〇10月2日(金)よりT・ジョイ梅田、kino cinema 神戸国際、T・ジョイ京都ほか全国公開

東映ビデオオフィシャルサイト
「愛し合ってるかい?  忌野清志郎が教えてくれた」公式サイト 10月2日(金)新宿バルト9ほかにて公開 混迷の時代にこそ、清志郎を。 ここには、今こそ耳を傾けるべき歌がある。 世代をこえて愛される彼が、音楽と「夢を抱くことの尊さ」...

なお、冒頭の写真のコピーライツは©2026 Kiyoshiro Movie Project

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次